注:本記事は新型コロナウイルス感染拡大後の情報を元にしています
【概要】
京都府立京都スタジアム(サンガスタジアム by KYOCERA)は、2020年開場、京都府亀岡市にある京都サンガFCのホームスタジアム。
もともと京都では、Jリーグすらできる前の1992年から2002年のワールドカップへ向けたスタジアム誘致が行われていた。
しかし開催地を絞り込むうえで京都は落選してしまう。ここから、スタジアム建設へ向けた長い長い道のりが始まった…。
まずワールドカップの行われた2002年には再度スタジアム建設に向けた機運が高まり、署名運動も始まった。
更に2004年には、京セラ名誉会長の稲森和夫氏が「私財をなげうってでもスタジアムを建設したい」として、地元経済界と合わせて65億円もの大金を拠出すると公言。
65億という金額が稲森氏にとってどれほどの価値があるのかは不明だが、個人がスタジアムを作るためにそんな大金を出すなどという話は聞いたことがない。よっぽどの執念だったのだろう…。
場所も京都市横大路運動公園と決まり、お金、場所とすべてがそろった。
これでいよいよスタジアムも建設開始…。
かと思いきや、新駅や駐車場の設置が困難という結論に達し、アクセスの問題で計画は頓挫してしまう。稲森氏も資金提供を取りやめるなど、またもスタジアム計画は暗礁に乗り上げてしまった。
時計の針が再び動き出したのは2010年のこと。京都府が候補地を募ったところ、亀岡市、城陽市、舞鶴市、京丹波町、京都市の5つが手を挙げた。
…って、京都市はダメだったんじゃないのか?と突っ込みたくなるが、京都市も一枚岩ではなかったのだろうか。
その後、なんやかんやあって2012年には亀岡市に正式に決定、いよいよスタジアム計画が動き出す。この時、最初の計画があった1992年からはすでに20年の時が経っていた…。
ところは今度は、天然記念物であるアユモドキ保護の観点から市民団体、学界から反対を受けてしまう。
これによりまたもめにもめることになってしまったが、建設地の変更を経ていよいよ2018年に着工。2020年に竣工となった。
実に28年もの時を経て、スタジアムは京都の地に姿を現したのである。
一方、1922年に創設した日本でも屈指の歴史を持つ京都紫光サッカークラブを前身とした京都パープルサンガは1996年にJリーグに参入。
2007年には京都サンガFCと名を変え、3回の昇格と4回の降格を経験。
見事なエレベータークラブっぷりを発揮してしまっていたが、2021年にJ2で2位に入り4度目の昇格。
30年の時を超え、京都サンガは自慢の新スタジアムを携えてついにJ1の舞台に立つこととなった。
【アクセス】
最寄まで★★★☆☆
最寄はJR亀岡駅。京都駅から一本であるが、本数もそれほど多くなく輸送力も低いため行きも帰りもかなり混みあう。
ただ、試合時間に合わせて臨時便も出るので、そちらも有効に活用したい。
また道中は観光用のトロッコ列車もあるほど絶景が広がる。車内が大変混雑するため景色をゆっくり楽しむ余裕はないが…。
最寄から★★★★★
亀岡駅からは徒歩3分。アクセスの悪さが目立つJリーグのスタジアムとしてはトップレベルに利便性が高い。
スタジアム周辺は山や田畑が広がるが、駅の反対側は市街地がありコンビニや飲食店などもある。
近くにはスタバやホテルなんかもあり、試合前後もゆっくり過ごせる。
今回のドタバタ京都旅行記はこちら。
【観戦環境】★★★★★
球技専用スタジアムだけあって、試合の見やすさはバツグン。
紫一色の座席、そして黄色のKYOTOの文字で京都に来た実感を味わうことができ、それだけでも楽しい。
屋根も十分な大きさがあり、ほとんどの席では雨に濡れる心配はない。
最前列の方だけは少し雨が吹き込むことがあるが、その分選手を近くで見ることができるのでそこは許容範囲でしょう。
サンガスタジアムの大きな特徴としては、ピッチに対して座席の向きが八角形になっていることだ。
せっかくなので今回は斜めになっている部分(バルコニー席)から観戦したが、スタジアム全体も見られるし選手との距離も近いし一石二鳥の大変いい席だった。
席数は少ないが、かなりおススメの席だ。
こちらがそのバルコニー席。場所によっては空いているところもあり、意外と穴場かもしれない。
またビジョンは対角線上に2枚設置されており、スタジアム自体が大きくないのでどの席からでも十分に見える。
こちらはメインスタンド。バックスタンドとの違いは大きな2階席の代わりにVIPルームなどが用意されている点。
とはいえ、残念ながらほとんどの一般人にとっては無縁ではある…。行きたかったらスポンサー企業に勤めるしかない。
目の前に選手が来ると、本当に息遣いまで聞こえてきそうな距離感。やはり専用スタジアムは臨場感があっていい。
コンコースはスタジアムの中と外にそれぞれあり、用途に応じて使い分けられる。
一部通れないところもあるが、中が通れない場所は外、外が通れない場所は中を通ることで一周回ることができる(一部身に着けているグッズによる規制あり)。
ただ、内側のコンコースはちと狭い。
サンガサポーターが集うゴール裏のコンコースは紫の照明があり、目にも優しい。
一方外のコンコースは広く、混雑も少ない。京都をイメージしたという木製の屋根が温かみがあって良い。
ここの雰囲気はちょっと国立競技場に似てる気もする。
外のコンコースからは亀岡駅と市街地を眺めることができる。とにかく近い。
反対側からは京都の自然を眺めることができる。空気も美味しいスタジアムだ。
【雰囲気】★★★★☆
この日は悪天候、そしてルヴァンカップの大敗した後のプレーオフ第2戦(要するにほぼ消化試合)ということもあって客入りは少なめ。
それでもスタジアムがコンパクトで、応援の音が屋根で跳ね返り大きくなるため一体感のある雰囲気を作り出すことができる。
満杯になった時のスタジアムの雰囲気は間違いなく最高だろう。そういう試合で是非ともまた訪れたい。
もちろん、ゴール裏と選手との距離の近さもまた格別。選手も応援の迫力を十分に感じているはずだ。
周りには大きな建物がなく、夜になると暗闇にスタジアムだけが光る。この独特の雰囲気はナイトゲーム特有の楽しみ。
帰りに見えるスタジアムもまた美しいものだ。
【グルメ】★★★★★
駅からスタジアムまでの広場では、亀岡エコマルシェと呼ばれるグルメイベントが行われている。
こちらは京都サンガとは無関係のイベントのようだが、試合日にしか行われないので実質スタグルと言っていいだろう。
その代わり、京都サンガのサイトのどこを見てもこのイベントの情報は出てこないので注意が必要。
ただ、ここに出ている出店がなかなかに素晴らしい。
こちらは亀岡ホルモン。いろいろな部位のホルモンを一度に楽しむことができ、非常に満足感のある一品。
酒の肴にも最高だろう。
こちらは九条ネギを使ったホットドッグ。
ホットドッグの主役は普通パンとソーセージだが、これはネギが主役。シャキシャキとしたネギが非常に心地よく、香りも豊か。
京都を十分に感じられる一品。
本当はもう一品ステーキ丼を食べる予定だったが、自分の手前でちょうど売り切れてしまった…。
その腹いせ?にスタジアム内の店舗でステーキ丼を見つけたので購入。普通においしかった。
このようにスタジアム内外に店舗が点在しており、京都、あるいは亀岡を食という観点から十分に楽しむことができる。
ちなみに、スタジアム内の店舗については京都サンガのサイトで情報を得ることができる。
【街との一体感】★★★★☆
嵯峨野線のイメージカラーは紫。サンガが理由かどうかは不明だが、駅名標だけでも楽しめちゃう。
京都駅において嵯峨野線のホームは少し離れた位置にあるが、その分近づくにつれサンガスタジアムへの案内が増えていく。
ロッカーの上には大きな広告も掲出されている。
そしてホームの手前にも大きな壁紙が貼られている。
亀岡駅に到着すると、エスカレーターからしてサンガ一色。
もちろん、駅構内もサンガ一色だ。
近くにある郵便局には、サンガ仕様のポストまである。
駅前の商店街にものぼりがずらっと並んでいる。
大都市ゆえ京都一帯がサンガ一色、とまではなっていないが、確実に固定ファンをつかむことができている、と感じた。
【満足度】★★★★★
天気などいろいろ恵まれない試合ではあったが、スタジアム自体は最高だし、グルメやアクセスの良さなどスタジアム以外の点でも非常に良い点が多かった。
西京極で試合を行っていた時代には訪れたことがないが、少なくともこのスタジアムの良さは日本でもトップレベルと言ってもいいだろう。
古都・京都に誕生した自慢のサンガスタジアムとともに、京都サンガも着実に上へと歩みを進めていきたいものだ。
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