スタ辞苑〜全国スタジアム観戦記〜

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藤枝総合運動公園サッカー場~サッカーのまち藤枝~

注:本記事は新型コロナウイルス感染拡大の情報を元にしています

【概要】

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藤枝総合運動公園サッカー場は、2002年開場、静岡県藤枝市にある藤枝MYFCのホームスタジアム。

MYFCはマイエフシーと読み、その名の通り私のフットボールクラブという意味である。

 

2002FIFAワールドカップのセネガル代表チームのキャンプ地として使われ、セネガルのベスト8進出の影の立役者となった、由緒正しいスタジアムである(静岡県は日本を含めた国内最多の4チームがキャンプ地として使っており、そのサッカー熱の高さがうかがえる)。

 

そして藤枝と言えば、全国大会で優勝10回を誇る名門藤枝東高校をはじめ、藤枝東のライバル藤枝明誠高校、そして現代の高校女子サッカー最強校、全国大会6回優勝の藤枝順心高校があり、また中山雅史名波浩長谷部誠といった日本代表選手を輩出するなど全国屈指のサッカーが盛んな街である。

 

そんな藤枝をホームタウンとする藤枝MYFCは、静岡県では清水エスパルス、ジュビロ磐田に次いで3番目に2009年にJリーグに参戦したクラブ。

かつては藤枝ブルックスというクラブがあり盛り上がっていたのだが、大規模なスタジアムが確保できないという理由で福岡に移転した(のちのアビスパ福岡)。

移転したのが1995年であるから、実に14年の時を経て藤枝MYFCが誕生したのである。

藤枝ブルックスの移転先はこちら。

sportskansen.hatenablog.jp

 

誕生直後、藤枝MYFCは世界で2例目となるネットオーナーシステムを採用し、ネットオーナーによる議論や投票によって戦術や運営方針を決定するという非常に画期的な仕組みを採用していた(2015年に廃止)。

今の藤枝MYFCのエンブレムやマスコットキャラクターは、ネットオーナーシステムによる投票で決まったものの名残である。

 

そんな藤枝MYFCはJ2昇格を目指してはいるものの、このスタジアムの収容人数が5000人規模と非常に小さいことからJ2昇格はおろかJFLへ降格する可能性すらあった。

そこで2020年、藤枝市は1万人規模のスタンド設立や照明施設を更新するための予算を確保。これによりJ2ライセンスを取得している。

 

今回はそのスタジアム改修前に訪れた時の様子をご紹介したい。果たして、ここからどのように変わっていくのだろうか…?

【アクセス】

最寄まで★★★☆☆

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最寄りはJR藤枝駅。静岡駅から20分ほどで到着することができる。

藤枝市は静岡市のベッドタウンとして機能する人口14万ほどの街である。

 

最寄から★☆☆☆☆

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藤枝駅からは、まず自主運行バスである藤枝ゆらく線に10分ほど乗る。藤色の車体が楽しい。

 

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そして総合運動公園停留所から徒歩10分ほど歩く。ただ、バス停から案内がないのでちょっとわかりにくい。

この上を通る道路に向けて階段を上れば大丈夫だ。

 

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階段を上ったところの光景。サッカーのオブジェクトもあり気分も高揚する。

 

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ふと横を見ると、凄い光景が広がっている。サッカーを見にここに来ましたと言われてもにわかには信じがたいだろう。

 

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この道をまっすぐ行くと、藤枝MYFCの看板と選手の旗がある。藤枝MYFCと藤枝市の力の入れようがこの通りからでも十分に伝わってくる。

 

ただ大きな問題は、バスが2時間に1本程度しかない、という点だ。

ちょうどいい時間のバスがあればいいのだが、無い場合はタクシーに乗る、レンタサイクルを借りる、あるいは1時間歩くといった手段しかないのである。

地元の人は車があるからいいが、アウェイサポーターにはあまりにも厳しい…。

 

ただ、今は無料のシャトルバスも出ているようだ。

とはいえ、現状ではまだ試合ごとにバスを出すかどうか決めているような状況で、暫定的な措置感は否めない。

個人的には、別に運賃500円でも1000円でもいいから定期バスを出しといてくれるとありがたいのだが…。

 

今回の静岡旅行記はこちら。

sportskansen.hatenablog.jp

 

【観戦環境】★★★★★

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すり鉢状の独特の形状をしており、山に囲まれた地形を生かしたスタジアムである。

もちろんサッカー場なので陸上競技場に比べると見やすさは段違いだ。

 

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目の前に選手が来ると特に見やすい。この臨場感がサッカー場の最大の利点である。

 

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屋根はスタンド全体のおよそ半分くらいを覆う大きさ。もうちょっと頑張れば全体を覆える気はする。

席のタイプはスタンドの両側が背もたれなし、真ん中の席だけ背もたれつき。チケット代はおおよそ背もたれなしの席が1500円、ありの席が2500円だ。

 

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ビジョン…というか極限までサッカーに特化したスコアボードである。ただ時計が非常に見やすいのはありがたい。意外と今何分か分かりにくいスタジアムもあるので。

 

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というわけで、スタメン紹介はこの超アナログなボードを使っている。双眼鏡は必須だ。

 

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ホーム藤枝MYFCのスタンド。メインスタンド以外は現状2段の芝生エリアになっている。

角度はあって意外と見やすいんじゃないかとお見受けする。

 

そしてスタンド後方には緑豊かな山が連なっている。紅葉の時期とかすごいキレイなのでは…?

ただ、とかが鳴りだしたらここに落ちてきそうでちょっと怖い。大雨ならがけ崩れとかもありそうだし…。

 

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アウェイ側のスタンド。もちろんホームと同じ形状。

トイレに行きたくなったら若干めんどくさそうである。

 

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そしてここがスタンドのコンコース。売店などのブースが並んでいる。

 

【雰囲気】★★★★☆

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人数こそ少ないものの、スタジアム全体が手作り感にあふれており町内会のお祭りの延長のような雰囲気。

全体的に温かくほのぼのとしている。J3の良さはこのあたりにあるのかもしれない。

今後強くなってお客さんが増えてきたりしたらこれがどうなるのか、楽しみでもあり不安でもある。

 

そしてなぜか太鼓隊はやたら力が入っており、様々な打楽器を使って小気味いいリズムで応援をしている。

なんとなく同じ静岡県内の清水エスパルスの応援をほうふつとさせるのだが、エスパルスからノウハウを学んでいるのか、あるいは独自の文化を築いているのか、その辺りは判断しかねるところである。

 

清水エスパルスのホームアイスタはこちら。

sportskansen.hatenablog.j

 

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ゴールなどのいいプレーが出るとスタジアム全体がどっと沸くのだが、スタジアム全体の一体感という意味ではまだまだこれからといった印象だ。

でもあの応援団がいればそのうちスタジアム全体がリズムに乗ってくるんじゃないだろうか。小気味いい応援は藤枝MYFCの大きな武器になりうる魅力であると私は思う。

 

【グルメ】★★★★★

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グルメはスタジアム外の広場と、コンコース内にお店がいろいろ出ている。正直あまり期待はしていなかったのだが、いい意味で裏切られる形となった。

 

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まずは藤色の藤枝サイダー。要はサイダーにブドウのシロップを混ぜたものである。

それでもクラブと同じ藤色というのがプレミアム感満載だ。アルウィンの山雅ビールに近いものがある。

 

山雅ビールはこちら。

sportskansen.hatenablog.jp

 

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こちらがメロンジュース。メロンの果肉も入っており、風味抜群でとてもおいしい。

もしかしてヤマハスタジアムで売っているものと同じものだろうか?なんにしろここまで来てもらっているのは企業努力のたまものである。

 

同じくメロンジュースを売っているヤマハスタジアムはこちら。

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さらに、新潟のビッグスワンと同じように各地のご飯を食べ比べできる塩おにぎりセットもある。

塩おにぎり3つなのでさすがにこれだけを食べるのは結構きついが、ほかの人と分けながら食べるもよし、おにぎりにあうおかずをスタジアム内で探すもよし、一口ずつかみしめながらゆっくり食べるもよし。

 

楽しみ方は人それぞれだが、なによりビッグスワンのおにぎりセットの三分の一以下、たったの400円で楽しめるのが素晴らしい。

静岡のきぬむすめもこしひかりやつや姫に負けず劣らずおいしかったです。

 

こちら新潟ビッグスワンのおにぎりはもちろん美味しい。

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もちろん静岡B級グルメド定番の富士宮焼きそばもある。でもなんとなくほかのスタジアムで食べる富士宮焼きそばよりもおいしいような気がした。

 

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さらに今日はホームタウンの一つである牧之原市デーということで、牧之原市のイカ焼きも販売。

磯の香りが強く、そんじょそこらのイカ焼きとはレベルが違い大変美味でした。

 

まだまだこれ以外にも食べてみたいグルメが目白押し。グルメに関しては大いにお腹を空かせてスタジアムを訪れる価値があるだろう。

これだけのグルメがそろっているのは企業努力のたまものである。

 

【街との一体感】★★★★★

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藤枝駅にはドでかく「サッカーと、時間を刻む」というメッセージが掲げられており、

 

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駅の階段には蹴球都市という言葉が描かれ、

 

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街中には藤枝MYFCの旗や、

 

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ポスターを至る所で見ることができ、

 

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藤色と黒に塗られた自販機が置かれ、

 

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藤枝駅前商店街は藤枝MYFCを応援しており、

 

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バスも藤色と黒にラッピングされている。

藤枝MYFCというよりはサッカー色の方が強いが、この街でサッカー観戦と言ったら要は藤枝MYFCのことである。

 

藤枝市がいかにサッカーというスポーツに力を入れ、サッカーを使って町おこしをしたいと考えているかはこの風景からもよーく分かる。

その渦中にある藤枝MYFCが盛り上がらないはずがないのだ。この力の入りようはJ3はおろか下手したらJリーグ全体でもトップクラスといえるほどのものである。

 

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また藤枝MYFCのホームタウンの一つである焼津には駅のすぐ近くに温泉施設があるのだが、

 

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たまたま入ってみたところ藤枝MYFCコーナーが設けられていることが分かった。焼津にまで侵食しているとはものすごい力の入りようである。

 

【満足度】★★★★★

藤枝がサッカーのまちとして売り出していることは知っていたが、正直なところ想像のはるか上をいっていた。

これほどの強力なバックアップがあるからには、藤枝MYFCは上を目指していくしかないだろう。

 

スタジアムの見やすさも最高だし、グルメも雰囲気も最高なので、あとはこれを育てていきながらアクセスの悪さを改善していってほしい。

やっぱりアクセスはスタジアムに行くかどうかの障壁になってしまうのは事実だし、せっかくいいスタジアム環境があっても行きづらいとなると機会損失につながりがちだ。

 

藤枝市にはスタジアムの改修だけでなく、バスの拡充などアクセス改善にも少しずつ力を入れてほしいところだが…。

 

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