スタ辞苑〜全国スタジアム観戦記〜

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等々力陸上競技場(改訂版第2版)~フロンターレは黄金期から安定期へ~

注:本記事は新型コロナウイルス感染拡大の情報を元にしています

【概要】

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等々力陸上競技場は、1962年開場、神奈川県川崎市にある川崎フロンターレのホームスタジアム。

 

競技場が歩んできた歴史は以前の記事に載せています。

sportskansen.hatenablog.jp

 

川崎フロンターレの歩みは優勝時に記事にしています。

sportskansen.hatenablog.jp

 

川崎フロンターレは2017年にJリーグ初優勝を果たすとそのまま翌年も連覇

更に2020、21年にも連覇を果たし、名実ともに日本最強クラブとなった。

 

勢いに乗ったフロンターレは、いよいよ60年の歴史を持つ等々力陸上競技場の球技専用スタジアム化に着手することとなった。

日本においてはのちに陸上トラックを設けるといった事例はあったが(昭和電工ドーム大分)、陸上競技場としての機能が失われる球技専用化はこれまで行われたことがなかった(私の知る限り)。

 

それだけJリーグのチカラが大きくなったということであり、川崎フロンターレが市民に認められる存在となった、という証でもある。

今回は、そんなフロンターレの等々力陸上競技場での一戦を改めて楽しむことにした。

 

ある意味で等々力と逆の歴史をたどった昭和電工ドーム大分はこちら。

sportskansen.hatenablog.jp

 

【アクセス】

最寄まで★★★★★

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最寄はJR、東急の武蔵小杉駅。

昨今の再開発で利便性が格段に良くなり、今なおタワーマンションが乱立している街である。

以前よりも勢いが少し落ち着いた気もするが、相鉄線の乗り入れも始まりますます便利になる。

 

最寄から★★★☆☆

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武蔵小杉駅からは徒歩20分ほど。

以前に比べて一部の道が整備された、タワマンのおかげで武蔵小杉駅の位置が分かりやすくなった、など道の分かりにくさは多少は状況改善されている。

それでも、案内が不十分で住宅街をぬっていくため初見殺しには十分な難解さだ。

 

特に帰りは道が狭いため大変混雑し、車とすれ違う時には非常に危険である。平気で道路の真ん中を歩いたり横切ったりしていく人もいるがマネしてはいけない。

これまで大きな事故が起きていないんだとしたら奇跡の類だ。

 

これに関しては、競技場を作った場所が悪いというしかない…。フロンターレと川崎市には頑張ってスタジアムまでのデッキか地下道を掘ってほしいですわ。

 

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道中謎のパワースポットっぽい場所があるが、毎度調べるのを怠けているため未だ詳細不明。

 

【観戦環境】★★★★☆

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今回はメインスタンドの2階から。陸上競技場ではあるが、現時点でも結構見やすくそんなに不便はない。

これが専用スタジアムになったらどうなるんだろう…と想像を掻き立てられる。

 

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引きで見たところ。メインスタンドが手前側にあり、バックスタンドは両ゴール裏と反対側の3面がつながっている構造。

一応メインとバックのスタンドは行き来できるようだが、階段もありちょっとめんどくさい。

 

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メインスタンドは改修されて非常に快適になっている。屋根も大きく、おススメの席種と言えるだろう。

 

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一方、バックスタンドの一階席は座席がなく、角度もないためかなり不評。特にゴール裏はピッチからの距離も遠く環境は悪い。

 

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アウェイのゴール裏はこの見にくい場所しか選択肢がないので、なかなか厳しい状況である。

改修したらいち早く改善すべきポイントだ。

 

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ビジョンは両ゴール裏に一枚ずつ。Jリーグでは標準的か、少し小さいサイズ。ここも改修して大きくしてほしいところ。

 

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メインスタンドのコンコースはこんな感じ。屋根もついていて幅も十分あり歩きやすい。

なにより全体的にオシャレで歩いているだけでも楽しい。常設のグッズショップやカフェ、レストランまで用意されていて、施設の充実ぶりはJリーグでもトップレベルだ。

 

一つ難点を挙げるとすればトイレが一つ下の階にあってちょっと行くのがめんどくさいくらい。でもトイレ自体はとても清潔だ。

 

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そんな中、照明塔だけはなんだか歴史を感じる気がする。ここだけは割と開場当初からあまり変わっていないのではなかろうか?

多分だけど。

 

【雰囲気】★★★★★

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昼過ぎのスタジアム。

 

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夕暮れのスタジアム。

 

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薄暮のスタジアム。

 

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夕闇のスタジアム。

 

時間ごとに移り変わっていくスタジアムのさまを見るのは実に面白い。

等々力陸上競技場においては周りに何もなく、武蔵小杉のビル群だけが浮かび上がるのがまた趣深い。

このスタジアムはこの角度から見るのが一番楽しめそうだ。

 

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バックスタンドにはKAWASAKIの文字。奥行きがそんなにないのでいっぱいいっぱいの大きさである。

 

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本日は大久保嘉人のラストセレモニー。

しかし最後だというのに神輿に乗って登場してくるなど川崎フロンターレらしさ全開。

相変わらずやることがめちゃくちゃなクラブだなあ。

 

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もちろん最後はサポーターと盛り上がって帰っていった。

 

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ゴールが決まるとタオルを回して喜びを分かち合う。

フロンターレは全体的にほんわかしていて、家族で、友達で、カップルでみんなで楽しめる雰囲気作りがよくできている。

昔のJリーグによくあった硬派な雰囲気とはまるで真逆で、令和のJリーグを引っ張っていくであろうスタジアムである。

 

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川崎には藤子・F・不二雄ミュージアムがある関係で、スタジアム内には作品のブロンズ像がある。

ドラえもん、のび太、パーマン、コロ助、オバQなどお馴染みのキャラクターたち。こりゃ楽しいや。

これ以外にもスタジアムの各地にブロンズ像があるので探してみるのも楽しみの一つ。

 

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バックスタンドの裏側には、歴代メンバーのレリーフが飾られている。

2017,18,20,21と5シーズンで4度のリーグ制覇を果たしたフロンターレはJリーグの一時代を築いている存在だ。

 

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メインスタンドの一角では、ひっそりと旧メインスタンドのラストイベントのパネルが飾られている。

が、もうすっかり物置になっているし今後忘れ去られていく存在なんだろうなあ…。

 

【グルメ】★★★★☆

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スタジアムの前にある広場には、様々なキッチンカーが並び目移りする。

各イベントブース、マスコットであるふろん太のふわふわ、巨大迷路などもあり家族でも楽しめるようになっている。

 

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川崎在住のブラジル人の方が出しているブラジルキッチンのシュラスコ。肉肉しくおいしい。

今や等々力の名物の一つだ。

 

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ガッツリしたものが食べたかったのでチキンオーバーライス。色味も豊かでなかなかおいしい。

 

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クイズ番組でゆきぽよが川崎フロンターレを「川崎マドレーヌ」と誤答したことから生まれた、嘘のような本当の名物川崎マドレーヌ。

今ではすっかりスタジアムグルメとして定着してしまった。このあたりのフットワークの軽さがいかにもフロンターレっぽいなあ。

 

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川崎マドレーヌとこちらのフロンチーノはどちらもメインスタンド内のFsweetsで購入できる。

こちらは対戦相手のジュビロ磐田に合わせたいわた茶チーノ。暑い夏には最高だね。

いいタイミングで行きました。

 

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川崎と言えば川崎大師、ということで川崎大師名物のとんとこ飴も売っている。とんとことんとこ包丁でまな板を叩く音が広場に響き渡っていて小気味よい。

 

川崎は決して食べ物が豊富な街とは言えないが、スタジアム名物グルメをうまいこと生み出しているほか、数少ない川崎名物グルメも取り込んでなかなかに楽しめる。

これ以外にも、川崎が発祥のニュータンタンメン、そしてとんかつの和幸(川崎生まれとは知らなかった…)のお弁当も売っていて、安心して楽しめるグルメがそろっている。

 

【街との一体感】★★★★★

この項目については前回の記事もご参照ください。

sportskansen.hatenablog.jp

 

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東急バスは、ガッツリフロンターレの装飾を施したバスを走らせている。

 

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武蔵小杉駅前のポストはと黒に染まっていて、

 

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もちろんフロンターレ仕様の自販機もある。

 

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スタジアムの手前の道にはふろん太くん。

 

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今回一番目を引いたのは武蔵小杉駅前にあるフロンターレのグッズショップ。

こちらはグッズショップだけでなくオシャレなカフェも併設していて、試合の有無に関係なく優雅に過ごせるスポットとなっている。

 

「フロ」ンターレにかけた銭湯風ののれんもまたいいセンスしてる。グッズとして風呂おけまで売っている徹底ぶり。

さすがJリーグ最先端のクラブはぶっ飛んでいるわ。

 

【満足度】★★★★★

長らくシルバーコレクターとして苦汁をなめていたフロンターレだが、2017年に初優勝を果たし殻を破ると一気にJリーグトップクラブの座を手にした。

それに伴い入場客数も右肩上がりで、チケットは即座に売り切れる人気クラブとなった。

 

今後スタジアムの改修も見据えまさに順風満帆のフロンターレ。

だが、Jリーグの歴史を見れば黄金期を末永く続けることができたクラブは一つもない

 

ヴェルディも、ジュビロも、サンフレッチェも、いつかは黄金期に終わりが来ることを示している。

アントラーズだけは30年ずっと勝ち続けていると言えるが、そのアントラーズですらここ5年以上タイトルから遠ざかっている。

 

もちろんずっと勝ち続けられれば理想だが、そういうわけにもいかないのがこのJリーグ。

黄金期が落ち着くその時までに、フロンターレは川崎の文化として安定した基盤を築いておきたい。

そしてフロンターレなら、きっと実現できるはず。フロンターレの戦いはまだまだこれからだ。

 

 

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