注:本記事は新型コロナウイルス感染拡大後の情報を元にしています
【概要】
SAGAアリーナは、2022年竣工、佐賀県佐賀市にある佐賀バルーナーズのホームアリーナ。
元々は2024年に佐賀県で行われる国体に向けて計画されたアリーナである。
最初は6000席規模のアリーナを予定していたが、バスケットボールのBリーグが拡大していくのに合わせ、8000席規模の九州で最大クラスのアリーナへと舵を切った。
途中で150億円の予定だったのが197億円へと膨れ上がり佐賀県議会から猛反発を受ける事件もあったが、アリーナは何とか無事に完成。
こけら落としはなんとB'zのライブという、地方としては異例の豪華なものとなった。
ちなみにB’zの二人は特に佐賀と縁があるわけではないらしい。
そんなSAGAアリーナをホームとする佐賀バルーナーズは、2018年に創設された。
実はSAGAアリーナが建設されるのを受けて設立されたという、日本でも稀有な歴史を持つ。
すなわちアリーナを有効活用するために作られたのであり、生まれながらにして8000人のアリーナを埋めるまでに成長することを義務付けられた、なかなか難儀なチームなのである。
とはいえ初年度となる2019-20シーズンはコロナの関係で中断となったものの1位の成績を収めB2へ昇格。
更に2022-23シーズンには、SAGAアリーナオープン前に特別に行われたプレーオフで勝利、長崎ヴェルカやアルティーリ千葉といった強豪を振り切ってB2優勝を飾り、見事B1への昇格を果たした。
ここまで成績としては順調そのもの、あとは人気がついてくるかどうかが課題となる。
同じ佐賀県内に本拠を置きチームカラーも共有しており、J1にしぶとく残るサガン鳥栖のように、B1にしがみついていきたいところだ。
チーム名の通り、気球のように上昇気流に乗っていけるだろうか。
佐賀のお隣サガン鳥栖のホームはこちら。
【アクセス】
最寄まで★★★★☆
最寄りはJR佐賀駅。佐賀県で最も乗降客数が多く、九州全体では12番目。
特に博多方面への特急が充実していて、そちらへの通勤通学も可能。
将来的には西九州新幹線が開通する可能性もあるが、現時点では未定。
そんな佐賀の魅力を探した旅の記録はこちら。佐賀だけに。
最寄から★★★☆☆
佐賀駅からは徒歩で20分ほど。
距離はそこそこあるが、佐賀平野と呼ばれるだけあって平坦だし道もキレイで歩きやすい。
どうしても歩きたくない場合は路線バスもある。
駅から北へただまっすぐ歩くと、あまりにも大きなアリーナが見えてくる。
本当に大きいのでひたすら目立つ。
大きさもさることながら高さもスゴイ。
車からでもよく見えるだろう。
【観戦環境】★★★★★
大きなアリーナであるが非常に見やすい。
座席にも角度があって、どの席からでも遮るものがなくよく見える。
中から見ても本当に大きなアリーナだ。ぐるりと一周囲むリボンビジョンもきらびやか。
アリーナは上下の二層に分かれており、その間にはVIPルームが用意されている。
スポンサーの接待には欠かせない場所だ。
中央には四面ビジョンが設置されていて、大きさも十分。
両サイド最上部には1枚ずつビジョンがあり、試合中はスコアなどが表示される。
リング後ろの見えにくい部分はチケットを販売していないようで、これは地味にうれしい配慮だ。
他のアリーナでこういう思い切ったことをしているところはそうそうないと思う。
アリーナの入り口は二階にある。
一階のチケットを持っている人でもアリーナ内で自由に上り下りできるためだ。
マスコットのバルたん。なかなかイカツイ風体をしているが、動きはカワイイ。
アリーナ入り口を入ったところ。
木目の床がなんとも暖かみを感じる。開放的なガラス張りも今風のアリーナ。
コンコースには展示スペースも用意されている。
一番目立つのはやはり佐賀バルーナーズB1昇格コーナー。
こけら落としとなったB´zのライブなどを記念したコーナーも。
早速NiziUやユーミン、羽生結弦のアイスショーなど大型イベントが続々行われ、一躍人気施設に。
コンコースもキレイでオシャレ、いかにも現代的な施設といった印象。
コンコースにはイスやテーブルも数多く用意されていて、飲食場所にも困らない。
カウンターにはコンセントまであるという親切設計だ。
一方、クールダウン部屋とかいう謎の施設まである。
中にはイスが一つあるだけ。まったくもって使い方が分からない。
ここ開けて中に人いたら普通に悲鳴上げそうなんだが…。
上層にも行ってみる。
こちらは通路がアリーナ内部と一体になっていて、コートを見ながら歩けるようになっている。
改めて見ても大きなアリーナだ。
さすがに8000人規模ともなると迫力が違う。
上層にはマス席もあるなど、9種類もの多種多様な席種が用意されている。
まさにイマドキのアリーナだ。
このあたりには放送席の入り口がある。
ここで待っていれば有名解説者に会える…かも。
ひとつ気になったのは、上に行くまでの階段があまりに暗いこと。
センサーで感知して近づくと電気がつく仕組みだが、近づくまでは暗くて怖い。
試合の時くらいはつけっぱにしてほしい。
このアリーナは外も見どころがたくさんある。
アリーナ前にはトイレやコンビニ、バーのようなお店もあり、その前には休憩スペースがたくさん用意されている。
試合がなくとも、憩いの場として十分に活用できる。
その横には国体で使われるSAGAスタジアムがある。
スタジアムの周りにはランニングコースが設定されていて、スポーツを見る場所というよりする場所というイメージ。
スタジアムはこんな感じ。立地は良いが、ここでJリーグの試合などをすることはおそらくほぼないだろう。
そういう風につくってあるスタジアムだ。
照明塔はやたらカラフル。多分佐賀の何かしらをモチーフにしている…はず。
こちらにも広場や駐車場があって、ずっと奥には山並みもそびえる。
街からは近いが、自然も割と近くに感じられる。
スタジアム越しに見たアリーナ。それぞれの施設が一体となって作られている。
スタジアムのコンコースの横には雨天時に使える走路まである。至れり尽くせり。
その横にはバスケのコートやサッカーなどに使えそうなピッチもあって、市民が気軽にスポーツを行える場所になっている。
こちらにはバレーボール選手のジャンプの高さ、
そしてバスケットボール選手のダンクの高さが示されている。
こちらには走り幅跳び、三段跳びの世界記録が示されている。
ジャンプ力に自信のある方は挑戦してみてはいかがだろうか。
すぐ横にはヘリポートまである立派な病院があるので、ケガをしても安心。
【雰囲気】★★★★★
光と音、さらには炎まで使った演出で、気分はぐっと盛り上がる。
とはいえ、このくらいの演出はBリーグでも割と標準的になってきた。
昨今のBリーグでは試合演出までも全体的にレベルアップしているのをヒシヒシと感じる。
とはいえ、数は正義。
この日も5500人を超えるお客さんが来場し、ワンプレーごとに大きな歓声が上がった。
佐賀県にはサガン鳥栖があるし、すぐ近くにも福岡ソフトバンクホークスなんかがあって、お客さんもスポーツの楽しみ方にはなじみがあるようだった。
このままいけば、佐賀バルーナーズがBリーグ入場客数ナンバーワンを奪取する…日もあるかもしれない。
【グルメ】★★★☆☆
アリーナ前には三台ほどキッチンカーがいた。
眺めとしては少し寂しい。
おでんの盛り合わせを購入。いろんな具材が一度に楽しめるのはよい。
味付けも九州風…なのかな?薄味で出汁が効いている感じ。
メインは入り口を入ってすぐのところにある売店。
ホットドッグやアイスクリーム、佐賀のご当地ドリンクやお酒などが販売されている。
さがジビエイノシシバーガーを購入。イノシシ肉とはまた珍しい。
味自体は悪くない、むしろ味付けも工夫されていて割とおいしい。
でもやっぱり、冷めた状態で出されるのは少しがっかり感が…。
値段も全体的に高く感じる。
グルメに関しては、まだまだ改善の余地がありそうだ。
お隣に最高のグルメスタジアムがあるから、そちらからキッチンカーを呼んでみるとかはどうでしょう。
アリーナ内でも食べ物を売っているのはちょっと面白い。何となく札幌ドームっぽいところもある。
基本的にはアリーナ内のどの売店でもほぼ同じメニューを取り扱っているようだ。
何となく雰囲気が似ている札幌ドームはこちら。
【街との一体感】★★★★☆
先述のアリーナ近くのローソンではグッズも一緒に販売されている。
佐賀バルーナーズと、同じくSAGAアリーナをホームとするVリーグの久光スプリングスのグッズが販売されている。
佐賀駅からアリーナまでの道中には両チームの必勝祈願絵馬が飾られている。
バルーナーズとスプリングスは一蓮托生の関係のようだ。
佐賀駅の構内では大々的にSAGAアリーナの広告が打たれている。
それだけ佐賀の活性化にかかる期待は大きい。
大きな選手のパネルも置かれている。
佐賀のプロスポーツ一覧。
佐賀は地味ではあるが実力派のチームが多い。隠れたスポーツ王国なのだ。
街中にはバルーナーズと久光スプリングスの旗も並んでいる。
佐賀市役所には一番目立つところに佐賀バルーナーズのバナーが垂れている。
本当に大きな期待をされていることが分かる。
中も割とバルーナーズだらけ。地元の自治体にプッシュされてるのはチームとしても大きい。
街中にもポスターが貼られているのをよく見かけた。
街中のいたるところに置いてある選手パネルのQRコードを読み取ることで、スタンプラリーができるイベントも実施。
自然と佐賀の街をめぐることができる。
名前の由来にもなった気球の博物館である佐賀バルーンミュージアムでは、選手パネルに加えてグッズの販売も行われていた。
とはいえ街中全体で言えば、より歴史が長くて実績のあるJリーグのサガン鳥栖の方が浸透度で言えば高そうだ。
でもクラブカラーが全く同じなだけあって、ぱっと見ではサガン鳥栖か佐賀バルーナーズか見分けがつかない。
つまり、それだけお互いのクラブの親和性も高いということだ。
サガン鳥栖を応援していれば自然と佐賀バルーナーズも目に入ってくるし、その逆もあるし。
共存共栄で実によくできた仕組みである。新潟のアルビレックスに近いかも。
街中の商業施設には、ありとあらゆる佐賀のチームが集められているコーナーがある。
じっくり見るだけで時間が過ぎていきそうだ。
【満足度】★★★★★
アリーナとしてはもう完璧、これ以上のものはなかなか作れないと言ってもいいほど。
よくもまあこんな素晴らしいものを作れたなと感心する。
一方で運営面に関しては決して悪くはないものの、このアリーナに見合ったものを作るにはまだもう一段上の努力が必要かもしれない。
ちょっと小難しく言えばハード面は準備完了、あとはソフト面といったところか。
まあそんな言葉遊びはどうでもいいので、とにかく楽しいアリーナを作ってもらえたらいいなと思う。
気球は一度火がついたら、ただひたすら上を目指すだけだ。
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