注:本記事は新型コロナウイルス感染拡大後の情報を元にしています
【概要】
石川県西部緑地公園陸上競技場は、1974年開場、石川県金沢市にあるツエーゲン金沢のホームスタジアム。
1985年のインターハイや1991年の国体でも使われた、全国に数多ある「国体スタジアム」の一つである。
そんなこのスタジアムをホームとするツエーゲン金沢は、1956年に創設された金沢サッカークラブを源流としている。意外と歴史が長いクラブである。
ツエーゲンという名前は金沢弁で強いんだ!を意味する「つえーげん!」が由来となっている。
そのためチームの調子が悪いときは「ヨエーゲン」なんて揶揄されたりもする。
J3初年度となる2014年シーズンには見事優勝を飾り、J3初優勝クラブの肩書を手にJ2への昇格を決めた。
J2では目立った成績を収めることはできておらず可もなく不可もなくな成績を残している。
そんな良くも悪くもニュースのなかったツエーゲン金沢にとって大きな転機となったのが「新スタジアム建設」であった。
もともと金沢には金沢市民サッカー場というサッカー場があったのだが、こちらの場所を移転し、ツエーゲン金沢のホームとして使用できる新しいスタジアムを建てることになったのだ。
昨今のJリーグではサッカー観戦に不向きな陸上競技場からサッカースタジアムへの移転が進んでいるが、お金持ちのJ1、小規模なJ3と比較すると中途半端に規模が大きいJ2ではなかなか難しいという問題がある。
今回は防災時の拠点としても活用できるということで、金沢市にとってもタイミングが良かったのだろう。
そんな陸上競技場と球技専用スタジアムの数を数えてみた記事はこちら。
今回は新スタジアム移行前に旧スタジアムである石川県西部緑地公園陸上競技場を訪れてみることにした。
【アクセス】
最寄まで★★★★☆
最寄はJR金沢駅。北陸新幹線延伸により、今日本で最も注目を集める駅の一つ。
スタジアムに行くには有名な鼓門とは反対側の出口から。
最寄から★★☆☆☆
金沢駅からはバスで15分から20分くらい。行きも帰りもそれなりに本数は多いのであまり心配する必要はない。
一応1時間歩けば行けないこともないが、オススメはしない。
しかしなぜかバスの運転がやたら荒いような気がするのは気のせいか…?結構怖かったぞ。(客の対応は丁寧なんだけど…)
スタジアム前には噴水などがあって涼しげ。飛び込みてー。
【観戦環境】★★☆☆☆
基本的にはよくある国体スタジアムという感じ。
国体でできたスタジアムってどこもあんまり変わり映えしないから面白みに欠けるんだよね…。
ホームツエーゲン金沢のゴール裏。
アウェイ側のゴール裏。
ゴール裏は他のスタンドとは独立した構造になっているようだ。
ゴール裏にあるビジョンには時計がついているように見えるが、実は全面LED。
Jリーグのスタジアムでもかなり豪華なつくりになっている。
試合中には随時サッカーのルールを表示したり、選手の特徴を表示したりする。
初めて来た人にも頑張ってサッカーやチームのことを覚えてもらおうという意思は感じる。
効果のほどは不明。
コンコースも国体スタジアムによくある普通の感じ。ちょっと狭い。
メインスタンドはその多くがベンチシートで非常に狭く座りにくい。これはサッカー観戦には厳しいねえ…。
そして屋根も国体スタジアムによくあるVIPだけを守るタイプのやつ。しかも小さすぎてVIPですら守れているか怪しい。
辞書の「無用の長物」の項目にこの屋根を載せたい。
また地味にイラっとするのが階段。
よく見ると、なんと数段ごとに段の長さが違うのだ。これに気付くまでは何度かこけそうになった。
こういう階段たまにあるけど本当に危ないからやめてくれ…。よくみんな転ばないで済んでるよね。
もっと危ないのが、スタジアム前に道路があってしょっちゅう車が行き来する点。一応警備員さんはいるが、それにしたって危ないったらありゃしない。
スタジアムが先か道路が先か知らないけど、なーんでこんなことになっちゃったのさ…。
バックスタンドの周辺は名前の通り緑地になっていて、散歩やランニングにはちょうどよさそう。
狭いから人混みには注意だけどね。
【雰囲気】★★★★☆
今日の相手は人気クラブベガルタ仙台だったが、ツエーゲン金沢もそれに負けないくらいの応援がなされていた。
ちゃんと人気があるようでよかった。
この日は日本相撲協会とコラボして、演出も全体的に相撲風に。
ツエーゲン金沢はこういうおもしろイベントをしょっちゅうやっているイメージがある。金沢の市民性にどれだけマッチしているかは不明だが…。
それにしても夕焼けのスタジアムは最高だ。
そんな中ツエーゲン金沢が先制、スタジアムのボルテージもヒートアップ。
試合は進んでスタジアムは暗闇に。
熱を帯びるツエーゲン金沢サポーター。
見事試合に勝利。金星…なのかな?
相撲だけに。
おそらく今生の別れ。とか思うと急に寂しくなる…。
このスタジアムに思い入れのある人だったらなんだかんだで寂しいのかも。
【グルメ】★★★★☆
グルメはスタジアム前とそこから少し離れた広場の主に二カ所。
相撲とのコラボということで売っていたちゃんことおにぎりのセット(600円は安い!)、ツエーゲン金沢の定番グルメ釜炊きおにぎり、そして福井に本店があるコッペ亭のコッペパン。
どれもこれも特徴的で安定したおいしさがある。スタグルの役目としてはそれで十分。
奥にあるのは野々市市からもらったお水。暑い夏には助かる。
暑かったので能登ミルクとバナナのジュースも購入。
700円というちょっとお高めの値段設定だが、バナナの食感や風味も楽しめるし味は確かだ。
記念に飲んでみるにはいいかも。
なんとレトルトのチャンピオンカレーの配布もあった。
お土産で買うべき金沢カレーをもらってしまった。これはうれしいね。
【街との一体感】★★☆☆☆
いろいろ金沢市内を歩いてみたが、ツエーゲン金沢のロゴが見られたのは鼓門の下にある金沢をホームタウンとするスポーツチームを集めた幕くらいだった。
観光が強い街のあるあるなのだが、
①観光が強いとそもそも街のアイデンティティーがあるので、あえてスポーツに頼らなくてもよい
②景観を損ねるので、あまり街中にペタペタポスターを貼ったりのぼりを立てたりできない
という問題があって、金沢もばっちりこれに当てはまっているようである。
一応幕は鼓門の下という金沢でも一番目立つところにあるからまだマシではあるが、逆にここに押し込められていると言えなくもない状況だ。
せっかく新スタジアムに移転するものの、街の盛り上がりとしてはイマイチな感じではある。
そんな観光都市金沢をてくてく歩いた旅の記録はこちら。
【満足度】★★★★☆
ツエーゲン金沢のクラブの努力も見えるし、観戦環境としては微妙な現スタジアムから新スタジアムへの移転でこれから伸びるクラブの一つだとは思う。
が、今の段階では新スタジアムになって何かが劇的に変わるかと言われれば微妙なところではある。
もちろん普段からスタジアムに行っている人は新スタジアムになって感動するだろうし、行ったことがない人も一度は行ってみたいと思うだろうが、それが継続した集客に直結するかはどうかはまた別の問題だ。
Jリーグ屈指のスタジアムになったギラヴァンツ北九州なんかは、別の問題が噴出して大変なことになってるわけですし…。
ま、いずれにせよこれからが頑張り時ってところですな。
新スタジアムはゴールではなくスタート地点だ。それにしてもまさかJ3降格が手土産になるとは思わなかったけれども…
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